愛にまつわるいくつかのこと
基本情報
著者 マキヒロチ
短編 『イギリス・ロンドン』描き下ろし
書籍 『旅する缶コーヒー』紙:2011年 実業之日本社 / 電子:2013年 同社
冒頭
雨のロンドンで朝食を終えた主人公とその夫
彼女は夫のレコーディングダイエットに協力しており、今まさに夫が食べたものをメモに残す
しかし3ヶ月目だがむしろ7kgも太っており、どうも怪しい——
感想|グッとくるコマ【序盤より】
ロンドンの雨
ご存じのとおり小雨の多いイギリスですが、ただ単にそのような自然環境を持つ地域が舞台だから、著者が雨を描写しているわけではないでしょう
もし天候そのもののみに着目していたら紀行漫画ですよね
(紀行漫画もおもしろいですが)
こちらの『イギリス・ロンドン』は恋愛漫画であり、雨によって陰鬱な登場人物の心情やストーリーが内包されることを暗示しているはず
さておき、おもしろいのは必ずしも雨が哀しみを表現するわけではないという点です
映画『ショーシャンクの空に』の雨に向かって両腕を掲げるシーンや、ミュージカル映画『雨に唄えば』での雨下のダンスはあまりに有名ですね
今、芸術における雨のシーンがそれぞれ皆様の頭にも浮かんでいるのではないでしょうか
(そうであれば嬉しい)
当たり前ですが、短編漫画は比較的少ないページ数でメッセージを伝え切る必要があります
そのため1コマたりとも無駄にはできません
このヒリつくような緊張感が短編漫画ならではの魅力です
夫のレコーディングダイエットのためバッグからメモ帳を取り出す主人公
恥ずかしながら、私はレコーディングダイエットという存在を知りませんでした
日々の食事を記録(レコード)し、食べ過ぎや栄養の偏りなどを可視化することで、改善を図るダイエットのようです
勉強になります
しかし世の中にはたくさんの種類のダイエット方法がありますよね
ってことは「これが最も健康的かつ効率的なダイエット方法だ!」という結論は出ていないということでしょうか
あるいは、運動をするのが王道だと薄々気づいているけれどキツいから避けてしまうのか
ダイエットという課題は根が深い
私が心配することでもないですが
短編漫画は長編のそれより読者が物語に向き合う時間が短いため、印象の影響力が大きくなる傾向にある気がしています
作風という色が濃く出るわけです
これにより読者はしばしば(先述のレコーディングダイエットのような)知らなかった知識、ひいては世界観に出会います
この世界観を提供するというのは芸術の大きな力であり役割の1つですね
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