音楽に誘われて
基本情報
著者 宮田紘次
短編 『視える音』2008年 月刊コミックビーム
書籍 『ききみみ図鑑』紙:2010年 エンターブレイン / 電子:2011年 KADOKAWA
冒頭
バスに乗っている主人公の学生・智原は、前の席に座っている青年のヘッドフォンから漏れる音楽にうんざり
彼は音楽が嫌いだ
なぜなら音が視覚的イメージとなって彼を惑わすから——
感想|グッとくるコマ【序盤より】
バスの前の席から漏れ聞こえるが、音楽がキライで
自己紹介って多くの場合は好きなものについて話します
初対面で嫌いなものについてペラペラ話したらドン引きされますよね
リスクばかりでメリットがほとんどない
しかし別にそれは憲法や法律で決まっているルールではない(ないですよね……?)ので、嫌いなものについて語ってもいい
厳密に言うとこのコマはいわゆる自己紹介ではなく独白で、フィクションではしばしば受け手(読者)への人物紹介として主人公たちの考えや行動が冒頭で示されます
掴みというやつですね
これが文字通り初対面の人と仲良くなろうとする過程みたいで、ちょっと緊張するけれどその分ワクワクするんです
その点、先述の通り嫌いなものについて示すというのは実生活では多かれ少なかれ相手から敬遠されるアクションですが、フィクションの世界ではむしろ受け手(読者)の興味を惹くことも多い
考えてみても、なぜこの逆転現象が起こるのか浅学の私にはよく分かりません
実生活では相手への好意を持てなかったら今後に差し障るという自分へのプレッシャーがあるけれど、フィクションではそうでないから?
うーん、不思議
聞こえた音楽の視覚的イメージが目の前に
イメージするという脳の働きは誰しもが持っていますが、その種類も大小も人それぞれだということに改めて気づかされる
色字共感覚といって、文字列から特定の色を感じとる方々も世の中にはいらっしゃると聞きました
改めて言うことでもないですが、脳とか人間って本当に奇妙で神秘的
時間停止とか瞬間移動とかみたいにとびきりファンタジーではなく、私たちが音楽を楽しむその延長線上にあるこのイメージ能力は、手が届きそうな感じがして素敵な題材だなと思いました
小説で言うところのマジックリアリズム……なのだろうか?
定義が難しくて自信がない
ちなみにこちらのサイトでは、便宜を図り短編漫画をタグでジャンル分けしています
こちらの短編漫画『視える音』は、どれが相応しいか考えた結果、青春とさせていただきました
悩みが若さ特有の爽やかさで解決に向かったら、それは青春かなって
普通に読んでいたらジャンル分けをすることもないので、こうして実施してみるのは結構楽しいです
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