私だけが知っている
基本情報
著者 水上悟志
短編 『まつりコネクション』2015年 モーニング
書籍 『水上悟志短編集 放浪世界』紙:2018年 マッグガーデン / 電子:同年 同社
冒頭
いつからか小さな宇宙人(ドワーフ)たちが人間の頭上に住むようになった
地球は侵略された……わけではないようだが
主人公・まつりにだけそれが見え、会話することができる——
感想|グッとくるコマ【序盤より】
人間の頭上に住む小さな宇宙人が自分にだけ見える
自分だけが知っているってシチュエーションはやっぱりゾクゾクしますね
誰だって多かれ少なかれ秘密を抱えており、それはバレたくないとマイナスに働くのが常ですが、フィクションで描かれる超常的な力はむしろ逆で、バレるわけにはいかないがそれ自体が愉悦で人生を変え得る
漫画『DEATH NOTE』も序盤はノートや死神の存在を知っている人間は主人公・月だけだった
アニメ映画『時をかける少女』でもタイムリープできることを知っているのは主人公・真琴だけ……じゃないんだっけ?
とにかく、人は社会で上手くやるために基本的には他者と同調しなければならないと思って過ごしていて、でも実は他者とは一味違う格好良い自分に恋焦がれている
(ですよね?)
この深層心理をうまくくすぐられます
不思議なもので、特別な能力や環境を与えられた人間の苦悩には(先述の通り特別なのに)どこか共感するところがあります
すべての人間は心の底で根っこが繋がっているということでしょうか
小さな宇宙人は「侵略なんかしてねーぞ」と言うが——
サンリオや、最近——でもないですが流行りのゆるキャラに代表されるようなマスコット的なキャラクターが主人公のバディとして登場
こちらの短編漫画『まつりコネクション』ではこういったゆるいキャラクターがたくさん登場して和気藹々と楽しいです
コマを追うだけでテンションが上がる
で、実はあとがきによるとデザインしたのは著者である水上悟志氏の奥様だそうです
紙面から楽しんでデザインされたことがありありと伝わってきます
あくまで個人的な想像ですが、ゆるいキャラクターを創造するのに求められるのは努力ではなくほとんどがセンスではないか
だからゆるいキャラクターをデザインできるのは芸術家としてそれだけで大きな武器になり得る
ゆるいキャラクターだけど、デザインの世界はゆるくなく厳しかったりして
他にも同様の例として、メカのデザインも訓練すれば誰だってできるわけじゃないようです
逆にメカ好き(マニアとも言えますが)はとことん巧い
デザインの世界は本当に奥が深い
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