藤子・F・不二雄『イヤな イヤな イヤな奴』

役割思惑



基本情報

藤子・F・不二雄『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』小学館 表紙
引用元:藤子・F・不二雄『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』小学館

著者 藤子・F・不二雄

短編 『イヤな イヤな イヤな奴』1973年 ビッグコミック

書籍 『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』紙:2023年 小学館 / 電子:同年 同社

冒頭

アルタイルからゼム油を積載し地球へ帰還する宇宙船

6人の乗組員と1匹のアルタイル犬が生活している

長い期間同じ宇宙船で暮らしているため、ギャンブルでイカサマをした / してないで揉めることもあり——

感想|グッとくるコマ【序盤より】

藤子・F・不二雄『イヤな イヤな イヤな奴』の1コマ ミズモリという整備士の登場
引用元:藤子・F・不二雄『イヤな イヤな イヤな奴』-『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』小学館より

ミズモリという整備士の登場

 

キャラクターの外見や役割、名前が物語の進行に応じてシームレスに読者に伝わるのではなく、あえて肖像画のように1枚絵で端的に提示される

素直に興味深い試みだと思いました

静と動にメリハリがあって、ダレることなく物語に集中できます

(なんか偉そうだな)

 

藤子・F・不二雄氏の画はシンプルなのにキャラクターの描き分けがしっかりあって、まるで魔法ですよね

簡単なようで、この技術は間違いなく一朝一夕では身につかない

漫画界では、線が少ないけれどいまいち見分けがつかなくて混乱するとか、キャラクターは立っているけれど描き込みが多すぎて読んでいて疲れてしまう……という現象が確かに存在するので(正直)

 

藤子・F・不二雄氏の画風に話を戻すと、シンプルだからこそ——つまり読む人を選ばないからこそ——老若男女多くの方に愛され、それから発表から時代を隔てても読まれ続けているのではないか

きっと読者の多くの方が(意識的にであれ無意識にであれ)気づいていることでしょうね

藤子・F・不二雄『イヤな イヤな イヤな奴』の1コマ 三次元クロスワード
引用元:藤子・F・不二雄『イヤな イヤな イヤな奴』-『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』小学館より

三次元クロスワード 

 

場所は宇宙(地球外)、時代は未来ですから登場する娯楽もまた読者である私たちにとって未知のもの——

こういった細かい設定(ディテール)によって大きな設定を補強する過程は、舞台の解像度が少しずつ上がっていきワクワクさせられます

最初はあまりに私たちの日常と違いすぎて面食らいますが、上記のように馴染んでくるとそれが没入感となる

逆手にとったというわけです

 

こちらの短編漫画『イヤな イヤな イヤな奴』の著者である藤子・F・不二雄氏の代表作といえばやはり『ドラえもん』です

そして、あなたもよくご存じの通り『ドラえもん』にはひみつ道具が登場します

よく思い出してみると、これらの道具の多くは人生を楽しむために機能しています

どこでもドア然り、タケコプター然り

 

で、貼付のコマ(また先述)の三次元クロスワードも分類すると娯楽です

藤子・F・不二雄氏はどうすれば楽しく生きられるかという深大テーマに関心があり、また芸術として昇華するという挑戦をなさっているのではないか

おすすめ|ぜひ読んでみて

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