大暴走の行く末は——
基本情報
著者 手塚治虫
短編 『大暴走』1969年 別冊少年マガジン
書籍 『大暴走』紙:1981年 講談社 / 電子:2014年 手塚プロダクション
冒頭
タクシーを拾えず困っていたニュースキャスター火水木吾郎
すると車に乗せてくれるという親切な男が通りかかった
運転手は氷沼という名で、やがて明日試運転される原子力タンカーの話になり——
感想|グッとくるコマ〈序盤より〉
乗車拒否
私は生まれていないので当然経験していませんが、バブルの時ってタクシーによる乗車拒否が普通に行われていたそうですね
タクシーって比較的乗るのにお金がかかるため、不景気になるとユーザーが減りましたが、お金があったバブルではユーザーが多く、需要と供給の関係でタクシー側に(大いに)乗せる人間の選択権があった
だからタクシーに乗りたい人は、チップを弾むからという意思表示で、車を止めるため掲げた手に万札を掴んでいた——という話
冗談みたいなエピソードですね
こちらの短編漫画『大暴走』はそんなバブルの頃の話なのでしょうか?
今でも実現していないテクノロジーなんかも登場するので、この世界とはまた異なった世界線かもしれません
相乗りさせてくれるという
手塚治虫氏の作品って、そういえば結構相乗りするシチュエーションが多い気がします
そして多くの場合、その運転手は物語において重要な役割を果たす
まあ車って私たちにとって身近な道具ですから、そりゃ乗る機会も多いよという話ですが、特に
今回はタクシーではありませんが、例えばタクシーで繰り広げられた物語として手塚氏の短編漫画『バイパスの夜』なんかもありますね(おすすめ)
車内は狭い空間ですから、物理的にも精神的にも登場人物の距離が近づくのがミソかもしれない
新型ロボットタンカー
私は工学には明るくないのですが、現代のタンカーってどこまでオートメーション化——この物語ではロボット化という表現が近いかもしれませんが——されているのでしょうか
人類が最初木で舟(船ではなく)を作って手や木で漕いでいた……のかは分かりませんが、とにかく人力だったのが、徐々に機械の力を用いるようになったその歴史がふと気になりました
手塚氏は原始的なものと先進的なものの両方を大事にされていて、極端な思想に走らないバランス感覚があって素敵だなとよく思います
簡単なようで実行するのは難しいと思うので
おすすめ|ぜひ読んでみて
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