やがて終末の時が来る——
基本情報
著者 藤子・F・不二雄
短編 『老年期の終り』1978年 マンガ少年
書籍 『藤子・F・不二雄 SF短編コンプリート・ワークス 8 流血鬼』紙:2023年 小学館 / 電子:同年 同社
冒頭
治安官がパトロール中、西KL-8地区にエネルギー反応が
そこにある政庁分室のデータバンクに向かうと司書・ゲヒラが資料を整理していた
このラグラング星は5千年の歴史の幕を閉じようとしているようで——
感想|グッとくるコマ〈序盤より〉
宙に浮かぶ車のような乗り物
未来の物語でよく登場する、いや、まるで代名詞のような宙に浮かぶ車のような乗り物
現在でもちょこちょこニュースは聞きますし、2025年の大阪万博でも空飛ぶ車としてお披露目されるらしいですが、まだ実用化はされていませんよね
宙に浮かすということは重力に真っ向から逆らうということで、相当なエネルギーを消費するため、だったら多少のロマンを望むより地面を走らせたほうがよっぽどいい——という風潮も
もしかしたら宙に浮かぶ車が実現するよりバーチャルリアリティの方が早く発達して、自分の部屋にいながら世界旅行が可能——みたいになるかもしれない
あくまで素人の予想ですが
結局何が言いたいのかと申しますと、SFは現実と競い合うものかもしれないということです
SFが現実を先んじたり、SFですら描かれなかったようなテクノロジーが現実のものとなったり
やり残した仕事
正しい仕事に熱心に取り組んでいるのって本当に美徳だと私は思います
奉仕の気持ちがあるということですから
「熱心に仕事をしよう。天国に持ち込めるのは仕事をしたという達成感だけなのだから」って何かの本で読んだ格言なのですが、誰の言葉だったか忘れてしまった
ググっても全然ヒットしない
幻……?
物語には登場人物にそれぞれ役割が与えられます
職業はその最たるものですね
だから仕事熱心な人物は物語上の役割をも大いに担うわけです
それを追う読者としても自然と感情移入していますよね
この心の動きが爽快だったりする
星の終末
こちらの短編漫画『老年期の終り』の主人公は誰か?
私の読解力の問題もあるかもしれませんが、実ははっきりしないんですよね
こればっかりは説明すると長くなりすぎるので実際に読んでいただくしかないのですが
ただ言えるのは、藤子・F・不二雄氏はあえて個人を主人公と設定せず、種族全体をそれとしたのではないか
このスケールの大きさこそが全編を通して哀愁を漂わせ、決して小さくまとまらないストーリーに押し上げている
そして種族の話だからこそ、読者である私たち自身も他人事ではないとドキリとする
『老年期の終り』の醍醐味とも言えるでしょう
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