手塚治虫『グランドメサの決闘』

命をかけて撃つ理由——



基本情報

手塚治虫『手塚治虫文庫全集 空気の底』講談社 表紙
引用元:手塚治虫『手塚治虫文庫全集 空気の底』講談社

著者 手塚治虫

短編 『グランドメサの決闘』1969年 プレイコミック

書籍 『手塚治虫文庫全集 空気の底』紙:2011年 講談社 / 電子:2015年 同社

冒頭

15年前、父を銃殺したというマクラウドがこの町に来ているという話を聞いたスティーブ

町ではちょうどマクラウドが賊を撃っていた

スティーブはそんな彼に日没時にグランドメサへ来るようにと決闘を申し込む——

感想|グッとくるコマ〈序盤より〉

手塚治虫『グランドメサの決闘』の1コマ ガクゼン!(主人公:右)
引用元:手塚治虫『グランドメサの決闘』-『手塚治虫文庫全集 空気の底』講談社より

ガクゼン!(主人公:右)

 

キラキラやバシッみたいなオノマトペとしてガクゼン!が使われていますね

ガクゼンはもちろん愕然ですから、こうしてオノマトペ化されるのは珍しいですね

(他の著者においてはギャグなんかでたまに見られますが)

少なくとも、私が憶えていないだけかもしれませんが、手塚治虫氏が用いているのは初めて見た気がする

 

なぜだろう?

もしかしたら、こちらの短編漫画『グランドメサの決闘』はアメリカの話だから、アメコミを意識されたのかもしれない

アメコミってジャンプする時の音を表現するのにオノマトペとして、コマに

JUMP JUMP JUMP

って描かれてたりします

手塚治虫『グランドメサの決闘』の1コマ 西部劇?
引用元:手塚治虫『グランドメサの決闘』-『手塚治虫文庫全集 空気の底』講談社より

西部劇?

 

舞台はアメリカ西部

さらにこの典型的な店構え

やはり狭義の西部劇でしょうか?

個人的に西部劇は映画でちょっと観たくらいで詳しくはないのですが、そう思われた方も多いのでは

こちらの短編漫画『グランドメサの決闘』はそういった印象より少し近代よりな気もしましたが

 

ふと、もし私がアメリカ人だったら当事者としてもっと興味深く読めたかも——と思いました

でも人種を自由に選べるわけありません

となると、少なくともやはりアメリカの歴史についてもっと学んでおくべきだった

学校の勉強は役に立たない……なんてことはないみたいだ

手塚治虫『グランドメサの決闘』の1コマ 美しい荒野
引用元:手塚治虫『グランドメサの決闘』-『手塚治虫文庫全集 空気の底』講談社より

美しい荒野

 

になりますねえ

手塚氏はストーリーの巧さが抜きん出ているため、画の上手さが相対的に見逃されがちかもしれない

そんなことない?

手塚氏の作品でどれが好き? みたいなテーマでワイワイ議論する時、やはりストーリーの話題になることが多いので

うーん、悔しい

(ただの読者なのに……?)

 

魚眼ではないですが、地面を直線では描かず、ダイナミックさを演出

そして人物と馬を黒塗りすることであえて詳細を描かない引き算

シンプルゆえに記号的な美しさの夕陽

自然が侵食によって作り上げた塔のような……えーと、これの正式名称は何?

これがメサ

 

ともかく額縁に入れて飾りたいコマですね

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